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ビーチで絵を描く女性

Q&A

Q1

人工股関節ってどんな手術ですか?

A1股関節のかみ合っている部分(互いに擦れあって動いている部分)を人工の物に代えてあげることで、傷んだ関節を再建し再び痛みなく歩けるようにする手術です。

Q2

どんな状態の時に人工股関節の手術が必要になるのですか?

A2下記の病気または外傷が対象 になります。これらのうち股関節の壊れ方の程度が強く、自分の骨や軟骨を残した手術では治すことが難しい状態になっていて、痛みが強く日常生活に支障をきたしている人に行ないます。

Q3

どんな病気に人工股関節の手術が必要になるのですか?

A3変形性股関節症:先天性股関節脱臼、小児期のペルテス氏病、化膿性関節炎、関節唇断裂、股関節の外傷が過去にあって起こってくることが多い病気です。

関節リウマチ:全身の関節が侵されていることがありますが、特に股関節、膝関節、足関節、肘関節、肩関節、指関節等に起こってきます。

大腿骨頭壊死症:多量のアルコールを長期間飲用した人、副腎皮質ホルモンを長期間多量に服用した人、大腿骨頚部骨折の治療後、外傷による股関節の脱臼骨折後等に起こってきます。

大腿骨近位部骨折後の偽関節や関節破壊

Q4

どこまで悪くなると人工股関節の手術が必要なのですか?

A4一般的に云って、人工股関節の手術以外の治療や手術を行っても効果がなかった、または効果が期待できない場合に人工股関節の手術が必要になります。

Q5

Q6

人工股関節以外にどのような手術法があるのですか?

A6人工股関節以外の手術として、関節鏡手術(関節唇縫合術)、骨切り術などの関節形成術があります。効果がある人は限定的で、治療に要する時間も長いため、私は行っていません。

Q7

人工股関節の効果は?

A7ほとんどの患者さんで、痛みは完全になくなり、関節の動きがよくなり、歩きやすくなります。車いすの生活をしていた人やほとんど寝たきりであった人でも早期に社会復帰ができ、また海外旅行やスポーツもできるようになります。

人工股関節以外にどのような治療法があるのですか?

A5 軟骨の擦り減りが軽度の場合、運動療法が効果かある場合があります。貧乏ゆすり、ストレッチング、筋力トレーニングなどです。股関節を動かすことにより筋肉の力を強くし、関節軟骨を回復させる(水中歩行、自転車こぎ、体操等)ことにより関節痛が軽減することがあります。変形が進んだ人は運動療法の効果はあまり期待できません。

Q8

私たちの病院で使っている人工股関節は?

A8人工股関節が長持ちするために最も重要なのは、関節の摩耗が極めて少ないことと、人工股関節が骨と長期間ちょうど適した強さで結合し続けることです。 摩耗に関しては20年前からセラミックとガンマ線を照射したポリエティレンを使用していますので、ほとんど摩耗しません。半永久的に耐用し得るでしょう。 骨との結合に関しては、水酸化アパタイト(骨と化学的に結合する骨の成分)を骨と骨セメントの間に使用するため、骨と人工股関節がちょうど適した強さで半永久的に結合します。

Q9

私たちの病院で使っている人工股関節の実績は?

A9これまで1000例以上の人工股関節を行ってきました。10年以上前に行った379例のうち、弛みで再手術となったのは、2例のみです。つまり、99.5%は弛んでいませんでした。

Q10

麻酔は?

A10麻酔は、麻酔の専門医が担当し全身麻酔で手術をおこなっています。手術後の痛みを少なくするために、手術終了直前にカクテル注射を行い、術後のできる限りの除痛に配慮しています。

Q11

輸血は?

A11一般的な人工股関節置換術の術中出血量は300-500mlで、術後にも同程度の出血があります。洛陽病院関節センターでは、自己血貯血や回収血は行っていません。貧血が元々あり、出血が多い患者さんには日赤の同種血輸血を行います。最近の輸血は精度が高く、感染症などの心配はほとんどありません。

Q12

皮膚は何cm切りますか?

A12ほとんどの場合、13㎝です。最近MISを売りにしている病院が散見されます。MISとはMinimal (最小) Invasive (侵襲)Surgery(手術)の略称です。皮膚を8㎝しか切らない、というのがMISの定義です。しかし、小さな皮膚切開にこだわるあまり、正しい人工股関節の設置位置が得られない、術中の骨折を起こす、神経損傷や皮膚の余分な損傷を併発してしまう、といったマイナスなことが増えてしまいます。手術の傷の大きさは股関節の機能に全く影響はありません。平均的な体格の患者さんで特殊な変形を生じている股関節でなければ、初回の人工股関節 では特殊な方法をとらなくても13cmの皮膚切開で手術を行うことは十分に可能です。13㎝は手首から小指の先までの長さ、8㎝は手首から小指の付け根までの長さです。5㎝、つまり小指分長く切ることで、安全で確実性の高い人工股関節が遂行できます。私の手術はMISの定義には当てはまりませんが、必要かつ充分な皮膚切開による安全な手術だと思います。

Q13

私たちの病院での人工股関節手術後の経過は?

A13

翌日       車椅子に乗って、トイレ、リハ室へ移動する。

2 日目    歩行器で歩行練習をはじめる。

3~4週間     1本杖で歩行し、退院する。

5か月まで  外来通院リハに週1回通院する。但し、遠方の人や高齢者は2か月程まで入院を延長することもできます。

Q14

人工股関節手術後に可能性のある合併症は?

A14肺梗塞 頻度は低い(1万分の1)ものの、生命の危険を生じることもあります。下肢にできた静脈血栓症がある時剥がれて肺まで流れていき、肺の血管を閉塞することが原因です。人工股関節の手術後だけでなく、長時間じっとしている(飛行機や避難時)と起こりやすくなります。いわゆるエコノミークラス症候群として一般に知られています。

脱臼 脱臼を予防するためにはコンポーネントの設置方法と軟部組織の適度なバランスを術中に得ることがまず大切です。しかし、人工股関節は特に術直後においては関節包に守られていないため、極度に曲げすぎたり、捻りすぎると脱臼することがあります。頻度は1%いかですが、何度も起こると再手術の必要が出てきます。

感染 骨の中はもともと無菌状態なので、口の中や胃腸、膀胱の中などに比べて細菌に弱い、という性質があります。そこに大きな人工物が入るので、一旦感染すると大変治りにくくなります。そのため、予防が何より大事です。手術はクリーンルームで術者は全員宇宙服と呼ばれる全身を覆い、吐いた息が術野に絶対に行かないようにしています。また、膀胱炎、虫歯、歯槽膿漏、大腸炎、など体の他の場所から血液を介して菌が関節に移動してくると化膿することがあります。

Q15

人工股関節手術後に可能性のある合併症を予防するには?

A15肺梗塞 弾性ストッキングの着用、フットポンプの使用、術後早期離床、抗凝固剤の使用により、危険性を少しでも下げる為に努力をしています。術前、術翌日、術後1週目に超音波検査を行い、血栓の早期発見に努めています。患者さん自身が積極的に両方の膝、足首、足の指を動かすことが最も予防効果があります。

脱臼 正確な手術手技を行うことにより、発生率低下に努めています。看護師や理学療法士の指示に従って、安全にリハビリしましょう。また、手術前から股関節周囲の筋力トレーニングを行うことも重要です。感染 クリーンルームの使用、いわゆるヘルメットシステムの使用(術者の呼吸や皮膚からのチリの落下を防ぐ)、術中の強力かつ丁寧な洗浄、抗生物質の適切な予防投与、などにより最大限予防に努めています。患者さんは、常に健康管理を行い、口腔内を清潔に保つ、足趾をきれいに洗う、などを続けてください。歯の治療をする時には、前夜より抗生物質を飲んでおく方が安全です。

Q16

費用はどれくらいかかりますか?

A16手術に関わる費用などに関しては、手術前に洛陽病院医療相談室で担当係の説明を受けていただくようにしています。特別な合併症などが無く、手術後2-3週間で退院した場合、医療費の総額は約200~250万円 です。したがって、例えば自己負担割合が3割の健康保険のご利用では、患者さんのご負担額は約60万円となりますが、高額医療費の還付制度を利用し、申請により所得に応じた一定額の還付が得られます。